今回は、かなりマニアックで変態的な内容です・・・
以前にちょっと書きました、一の糸が二の糸巻に当たる件。
この三味線、舞台等でメインに使ってるんですが、赤丸部分、当たり過ぎです。
とりあえず、二の糸巻の当たっている部分を削って使ってたんですが、ここまで削ってようやくです。福林の仕込み位置によっては何度も上場通ししても当たらない三味線もあるんですがね。
新品の時の状態、そこまで詳しくチェックしてなかったのでわかりませんが、結構早い時点から当たってたのかもしれません。棹の厚みはまだあるので、根本治療をしたいなと、ずっと思ってたんですが。
まず、なぜ当たるのか・・・天神を真横から見たイラスト↓
簡略化したイラスト↑で説明すると、黒丸の左から1、2、3の糸巻、黄色線が1の糸。
何度も上場通しをすると(下のイラスト、赤線)、上駒の取り付け位置が低くなってきます。
すると1の糸が2の糸巻に当てってしまう。
で、どうするか?
いくつか考えられるんですが、
・その1・・・糸巻金具(福林)の仕込み直し。
・その2・・・紅木の端材を付け足して、天神の上駒取り付け位置を盛り上げる。
・その3・・・一の糸を持ち上げるために、一の糸巻と二の糸巻の間に金属棒等を仕込む
など・・・
いちばん簡単の方法は、その3.なんだけど糸蔵に穴開けたくないのと見た目の問題で却下。とりあえずは、その1.をやってみよう。1の糸巻の福林をちょっとずらす。
まず福林を外すんですが、接着されているんでハンダゴテを使って熱で接着剤を溶かします。しばらくハンダゴテを当てていると、ブチブチブチと接着剤が溶けてはみ出してきます。
外れたら、福林が入っていた穴を天神の正面側に向かってヤスリで広げます。本当は一旦穴を埋めてから開け直した方がええんだろけど。穴埋め用の紅木の加工に時間かかりそうなのと再度穴開けるのが角度等難しそうなので辞め。
太い方も・・・
ほいで福林を入れてみます。左が元の位置で右が修正した位置。
太い方も・・・
当然、福林を入れると隙間が出来てますので、接着の際に紅木の端材を詰込みました。接着はジェル状瞬間接着剤(遅硬化タイプ)を使い、特に隙間のある所には紅木の粉を少し混ぜました。1の福林は斜めに仕込んであるので、両方の角度も注意して接着しなければなりません。結構難しいです。一回失敗してやり直しました。
詰め込んだ余分な端材を切り落として、ヤスリと鑿で綺麗にします。
あまり綺麗になってないけど、まあ、いがべ・・・
で、まあ何とか糸巻回るし止まるし、強度的にも大丈夫そう。
さて、この状態で1の糸はどうか?
だいぶ改善されたけど、まだ僅かに2の糸巻に触れてるようです。
まだこの後、棹を上場通しするので、もうちょっとクリアランスがほしいところ。
って事で次回は、その2.天神の上駒取り付け位置を盛り上げる、をやってみます。