津軽三味線は(三味線に限らず、全てにおいてだと思うが)、幼少の頃から始めなければ、上手くならないのか?と、いう疑問。

現在、若くして津軽三味線で活躍しておられる人達は、大抵、幼少の頃から三味線に親しめる環境に育っている事が多いようです。

が、それは、たまたま、そういう環境に恵まれていただけです。彼らの立派な所は、止めずにずっと続けてきた事なんです。

最初は、本人の意思に関係なく、与えられたものだったかもしれません。恵まれた環境に育った人でも、全く違う道に進んだ人もいるでしょう。

にもかかわらず、続けている、貫いている所が立派なのです。

では、そういった環境ではなかった人は?多くがそうだと思いますが。

ある程度、大人になってから、あるいは社会人になってから、津軽三味線に興味を持ち始めた人。自分もやってみたい、と思われた人。

僕が思うに、気持ち次第だと思います。どれだけ、強い気持ちがあるか、だと思います。

あと、お金。何かと、掛かります。

年齢は関係ないと思います。むしろ、色んな人生経験を積んでいる方が、いい音が出せるんじゃないかな、とまで思います。

確かに、若い人の方が、手が利く、とか、覚えが早い、とかはあるでしょうが。

自ら興味を持ち、疑問に思った時、初めて、自らの手で開いた本は、身になります。これが、本当の勉強だと思います。試験前に一夜漬けで覚えたものは、直ぐに忘れますし、押しつけられた本は、読んでも身になりません。

本当の勉強は、何歳からでも始められます。

問題は、その時間と、資金。お金が腐るほどあり、かつ、やる気がある人なら、三味線だけに集中出来るかもしれませんが。そんな人、あまりいないでしょう?

大抵、仕事をしながら、限られた時間で、限られた資金で、という事になってきます。もちろん、僕もそうです。正直、厳しいですし、大変です。

しかし、気持ちがあれば、チャレンジする価値はあると思います。

どんなに名人と呼ばれる人でも、最初は皆、素人です。最初から、できる人なんていません。

僕の師匠の栄山先生は、「黙って10年やりなさい。そうすれば、だんだんわかってくる。20年やれば、三味線もだんだん落ち着いてくる。」と。

焦ってやるもんではない、ということです。

ですから、三味線を始めるのは、早いに越したことはないですが、気持ちさえあれば、何歳からでもやれると思います。

現に僕が津軽三味線を始めたのは、28~29歳の時ですから。自分のペースで続け、そして気持ちを持ち続けているから、今では、なんとか人前でも演奏できる程度にはなりました。

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