2024年5月11日
・駒について・
ちょっとその前に、寸法について補足、前回も尺とか分とか厘とか出てきましたんで・・・
1尺≒30.3cm=303mm
1寸≒3.03cm=30.3mm
1分≒3.03mm
1厘≒0.303mm
です。
三味線の駒は、演奏するジャンルによって材質や大きさ高さ、重さなど様々です。様々と言いながら、三種類しか示せないんだが・・・まあ、僕、三味線屋さんじゃないんで、これくらいで許しといて。
長唄や民謡等は、シャリ駒(主に牛骨、鯨の骨等)、高級な物として象牙製など。
小唄には紅木製がよく使われるようです。
地唄は水牛の角に重り入り、
義太夫は黒水牛の角に重り入り、
津軽は竹ベースに鼈甲または牛骨や象牙など。
シャリ駒などは、低価格な物としてプラスチック製もあります。
値段も様々ですが、値段が高いから良い音がするとか良く鳴るとは限らないと思います。
象牙と牛骨では、圧倒的に象牙が高価です。それは象牙が希少であるから。それとか、重りが鉛の物と金や銀の物。金や銀の物は、金や銀の価格がプラスされます。
音色がどれくらい違うかは、実際に使って比べてみないと分かりません。低価格の物でも、自分の気に入った音色が出れば、それが正解です。
値段に騙されないように。なぜ高いのか、なぜ安いのか、なぜその値段になっているのか?をよく見極めて。確かに値段が高ければ、やはり良い物が多いですが、全てではないと思います。これ、駒に限った話ではなく・・・
ちょっと話が逸れて行きそうなんで、音色について。
一般的に言える事は、駒が軽いほど音色は軽やかになり、重たければ音色もドーンって感じで重くなります。なかなか音色を言葉で表現するのは難しいですが。
僕は津軽三味線専門なんで、津軽用の駒についての詳細。
津軽三味線で使う駒は、竹製の軽い物がほとんどです。高さは2分5厘から2分8厘くらいでしょうか。
駒の大部分が竹で、糸が乗る部分にだけ骨や鼈甲を入れてある物は、入骨、入鼈甲などと呼ばれています。
土台部分が竹で、上半分が骨や鼈甲の物は、半骨、半鼈甲などと呼ばれます。骨は牛骨が多いと思いますが、象牙を使っている物もあります。土台部分が竹でなく紅木を使っている物も、たまに見かけます。
牛骨と象牙の見分け方、象牙はよく見ると木目のような模様がありますが、牛骨はありません。
材質による音色の違いなんですが、半骨や半象牙に比べて、半鼈甲はやわらかめの音色になるように思います。
重さや高さの違い、幅が狭いか広いかでも音色が変わります。でも正直なところ、音色の違いに何が影響しているのかは、はっきりわかりません。
例えば、長さと高さと材質が同じで、幅が6mmのと10mmのでは、6mmの方がシャープな音色になるように感じるんですが、これは幅の違いだけでなく重さも関係している可能性があります。幅10mmの方が材料が多くなるんで当然若干重たくなりますから。幅の違いだけで音色の変化を調べるには、重さも同じにしなければなりません。僕は、駒は自分で作るんで気が向いたら作って試してみます、気が向いたらね。
作るのは、竹の半骨がほとんどです。牛骨は手に入りやすいという事もありまして。ギターの下駒(サドル)用の牛骨を加工して作ってます。
鼈甲の端材も少しあるんですがね。東京に行った時に、渋谷の東急ハンズに売っているのを発見し、かなりテンション上がりましたわ、変態やから。もう少し多めに買っとけばよかった。
ほいで、
寸法の違う駒を過去いろいろ作りましたが、今はだいたい定まってます。
高さは 2分8厘、幅は 8mmくらい、長さは 75mmくらい、重さは 0.63g前後
いちおう、高さは2分7厘から3分まで、全て重さは大体同じにして作ってありますが、2分8厘だけで事足りてます。
確かに、駒を変える事で音色も若干変わりますが、それも、そもそも皮が上手く張れているというのが大前提での事です。
皮張りがあまかったり、上手く張れてない場合は、いくら駒を変えても音色は良くなりません。皮張りがいまいちだった時に、いろいろ試しましたから。前回、駒位置について書きましたが、張りが甘い時は駒位置を音緒側に近づけて、音色を締めるんですが、そうすると音量が下がります。それを解消するために背の高い駒を使ってみたり。3分6厘の駒まで作って試しましたが結局、弾くのが疲れるだけ、劇的に音色が良くなる事は無かったです。皮張りが甘い、または上手くない場合、駒で何とか出来る問題ではありません。「奏者としてはどうする事も出来ません」とはそう言う事です。
ここで関係無い話、
僕、バイクが好きでして、オフロードバイクが。学生時代は将来パリダカールラリーにバイクで出ようと結構真剣に思ってたんです。お金がかかるのとテクニックが無いのとで諦めましたが。でも、ずっとバイクは好きで、一時期仕事に使ってたくらいです。
バイクの本もいろいろ読みました。ホンダのNXRと言うワークスマシンがパリダカに参戦した時の、マシン開発から優勝までの事が書かれた本(NXR開発奮戦記、だったか?)も面白くて何度も読みました。
本社から開発チームに降りてくる命令!?「パリダカで勝てるマシンを造れ!」単純明快。そして開発者達は、そのためにはどういうマシンが必要なのか熟慮し、設計図を書き、プロトマシンを造る。そしてテスト走行をする。ちゃんと走って、曲がって、止まれるか。そして耐久テスト、現地での走行テストを経て、勝てるマシンに仕上げて実戦投入。実戦での不具合や不満箇所などを改善して、また実戦。この繰返しで徐々にマシンは完成度を増していくんですね。
ワークスマシンの場合、最終的にはボルト1本1本までチタンボルトを使うなどの軽量化を図るんですが、NXRはそこまではやらなかったみたいですね。それでもパリダカ4連覇したという・・・
関係無い話を強引に三味線に当てはめると、今回の駒の話は最終的な事柄です。ボルト1本1本って話。いくらボルト1本1本チタン製にしても、走れず曲がれず止まれずのバイクには意味ないでしょ、って話。逆に、一番基本の大事な部分がしっかり出来ていたら、そんな細かい事は大して関係無いんです。ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが。
三味線に関しては、やはり皮の張り具合がとても大事ですね。
さて、次回は駒をどうやって作るかを書こうかな?
それともバイクの話をしましょうかね?関係無いけど。まあ、そんなに誰も見てないやろし。バイク整備についてもかなりマニアックで変態的な話がたくさんあるんですがね。
ま、考えときます。